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お宝アーティストご紹介

ドーナッツたちのコラム

悩ましき翻訳の日々
アコースティック(ACUSTICO)+占い(MANTICA)=アクスティマンティコ
ワールド・ミュージック? トラッド? プログレ? フォーク? カンツォーネ? ええい、ややこしい! 彼らはどのジャンルにも属さず、どのジャンルも股にかける。ローマを中心に活動しながらも、アメリカ・ヨーロッパ・日本と世界を股にかける。彼らは滋味豊かなサウンドと文学的センス溢れる歌詞で僕たちに魔法をかける。僕らはどうしたってこのバンドに目をかける。
アクスティマンティコのご紹介
  あれは2007年の7月末のことでしょうか。同居人であるジュディッタという女の子が野外で絵の展示会をするというので、ローマの真ん中、ポンテルンゴ(Ponte lungo)に位置するでっかい公園に行ってきました。どこまでも続くような広大な敷地には、ジプシーが住み着いていて、展示会が行われる予定のその原っぱは、夕日を浴びて一種異様な空間となっておりました。この展示会は、とあるボランティア団体が主催したものだったのですが、懐中電灯を照らして見るジュディッタの展示会と一緒に野外ライブも行われていまして、そこで僕は初めてアクスティマンティコを目の当たりにしたわけです。スピーカーもアンプもないまったくのアンプラグド(記憶が正しければヴォーカルもマイクなしで歌ってたはず)で、民族音楽を思わせるサウンドにきれいなヴォーカルが絡んで、不思議な空間と見事にマッチしていたのです。「こんなバンドがイタリアにいたとは!」というのが初めての印象でした(画像下は、そんな彼らのステージのひとコマ)。
  その後もバーやブックカフェで彼らの演奏を聴いて、ますますファンになっていったわけですが、一方で、一日本人から見た違和感というか、彼らのライブでの立ち振舞いが日本で僕が観たアーティストのそれとは違うな、と感じたのでした。そう考えていて思い出したのは、イタリア文化において言われる、芸術の配合と横断という論説です。例えばチェーザレ・ザヴァッティーニ(Cesare Zavattini)。1920年代、ジャーナリストとして記事を書いていた彼は、小説も書き始めて、その後シナリオライターに転向し、映画の世界に身を捧げました。例えばピエル・パオロ・パゾリーニ(Pier Paolo Pasolini)。フリウリ方言で詩を書き、ローマ方言で小説を書き、絵画の構図を取り入れて映画を撮りました。彼らのような存在に肩書きをつけるとすれば、作家でも小説家でも映画監督でもなく、それらさまざまな要素を抱合している芸術家とするのがもっとも適当だと思われます。芸術のカテゴリーを飛び越える芸術家たち。アクスティマンティコもまた、そんなアーティストなんじゃないかな、と思うのです。それはイタリアの音楽シーンにおいて、彼らに限ったことではありません。メドゥーサのお面をかぶって演奏するヴィンチォ・カポッセーラ(Vincio Capossela)のパフォーマンスは、演劇の要素を多分に含んでいるし、ローマ方言の自作詩を叫び倒すレモ・レモッティ(Remo Remotti)のライブは、日本では見慣れないタイプのものです。このように、イタリアのライブパフォーマーたちにも、芸術の配合や横断を感じることが往々にしてあるのです。
  アクスティマンティコのヴォーカル、ラッファエーラ・ミージティ(Raffaella Misiti、画像上)は、時に優しく神話や物語を語るように、時に何かを激しく訴えるように歌を歌います。曲間で突然楽曲の意味について説明し始めます。そんなストーリーテリングとあいまって、さまざまな場所・さまざまな編成で行われる彼らの演奏は、観るたびに印象が変わり、とても魅力的です。芸術を横断する新しいタイプのアーティストグループ、アクスティマンティコ。さらに詳しい彼らとその楽曲の魅力については、このページの左上、もっとアクスティマンティコのコーナーで触れていきたいと思います。

  <文:ハムエッグ大輔>



  =お知らせ=
  アクスティマンティコの輸入盤CDは、大阪ドーナッツクラブが運営するオンライン・アートショップ『藝の環(Geinowa)』でお買い求めいただけます。価格は、どのアルバムも2500円(送料250円が別途必要)。輸入盤ですから歌詞の対訳や解説は付属していません。イタリアで販売されているまんまでお届けします。ただし、大阪ドーナッツクラブでは、歌詞の訳やドーナッツ・メンバーによる曲の聴きどころを解説した文章を順次アップしてまいります。サイトを閲覧しながら、CDを聴きながら、アクスティマンティコを余すことなく味わってください。

  取り扱っているのは、以下の3枚です。
   2ndアルバム:『あこがれの季節』La bella stagione、2002年)

   3rdアルバム:『サンタ・イザベル』(Santa Isabel、2004年)

   4thアルバム:『ディスク・ナンバー4』Disco numero 4、2005年)

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