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お宝アーティストご紹介

ドーナッツたちのコラム

悩ましき翻訳の日々
悩ましき翻訳対談 第七回
ポンデ どうもどうも。ポンデ雅夫です。
ハムエッグ あ、ハムエッグ大輔です。今日は機嫌が良さそうですね、ポンデさん。
ポンデ わかる? ほくほくしてるのよ。身も心も。
ハムエッグ ほくほく? ほかほかじゃなくて、ほくほくですか。
ポンデ 足湯に浸かってきたんだよ。露天足湯。
ハムエッグ ローマの近くにそんなところありましたっけ?
ポンデ あんまり近くはないけどね。車で一時間くらいかな。ドライブをしてて道に迷ったのよ、どうしたもんかと思って辺りを見回してたら、だだっ広い草原が続いてるんだけど、その真ん中から何か陽炎みたいなものがゆらゆら立ち上ってたのよ。蜃気楼のようにね。
ハムエッグ びっくりしますね。
ポンデ でしょ? 「なんじゃありゃ」となってだね、僕は思わず車を降りてふらふらとその蜃気楼へと近づいていったわけだ。そしたらそこは池みたいになっててね、みんな水着でそこへ浸かってるのよ。
ハムエッグ なるほど。天然の温泉だったんだ。
ポンデ 水着は当然ながら持ってなかったんだけど、せっかくなんで足だけでもと僕もその自然の恩恵にあずかってきたわけだ。気持ちが良かったね、ほんとに。リフレッシュしたよ。君もいつか行ってみるといいよ。
ハムエッグ まぁ、実は行ったことあるんですよ、そこ。
ポンデ えぇ!? それ、早く言えよ。
ハムエッグ いや、ポンデさんがあまりにも嬉しそうに話すんで、遮るのもどうかなと思って。じゃ、今日は骨のある箇所が多そうなんで、ちゃっちゃと始めますか、悩ましき翻訳対談。
ポンデ そうね…。
   
対象箇所   È questo, è quest'altro, è questo, è quest'altro, è andato a finire che mia moglie, convinta che il suo fosse quello infrangibile, l'ha lasciato cadere per dimostrarmelo. Ed è stata una vera soddisfazione, per me, vedere il bicchiere rompersi e trionfare la mia tesi.
  "Ma non è nemmeno il tuo," ha gridato mia moglie, che cominciava a irritarsi.
  "Ah, non è questo?" ho gridato.
  E giù, il bicchiere per terra. È seguito un grido di trionfo; non mio, ma di mia moglie, raggiante di vedere che il bicchiere era andato in mille pezzi, appena toccato il suolo.
  "Oh, questa è bella" ho detto. "Allora non era nessuno dei due."
  "Pare di no" ha esclamato mia moglie perplessa.
  La presenza d'un misterioso bicchiere infrangibile fra quelli frangibili del nostro servizio ci rendeva inquieti e nervosi. Quale dare a Marcello? Con lo scegliere a caso, c'era probabilità di indovinare quanto di sbagliare. E un errore significava un bicchiere rotto.
下訳   これよ。こっちだ。これだわ。いや、こっちだね。自分が選んだのが割れないグラスだと信じきった 妻が、それを証明するために床に落としてみる ということになった。それは 私にとっては実に満足いく結果となった。グラスが割れて、私の主張が勝利したのだ。
  「だけどあなたの選んだグラスでもないわよ!」いらいらし始めた妻が叫んだ。
  「ええ、これじゃないってのか!?」わたしは大声で言った。
  ひゅう、グラスは床へ。続いて勝どきの声が。私のではなく、妻のである。彼女はグラスが地に触れるなり粉々に砕け散るのをみて喜々とした。
  「あーあ。こりゃいいや」私は言った。「それじゃあ二つのうちどちらでもなかったってことだ」。
  「そういうことね」妻が困惑しながらうめいた。
  私たちの持っている一式の割れるグラスにまざった不思議な割れないグラスの存在は私たちをいらいらさせた。どれをマルチェッロに渡すんだ? 適当に選ぶとなると、どれだけ間違うかのクイズができる。一つの間違いイコール一つの壊れたグラスだ。
   
27 è andato a finire che mia moglie, convinta che il suo fosse quello infrangibile,
自分が選んだのが割れないグラスだと信じきった 妻が、それを証明するために床に落としてみる ということになった。
ポンデ 「こっちだ」とか「いや、むしろこっちよ」とか言って、夫婦で揉めだしたところだね。割れないグラスを見つけ出すというのが本来の目的だったはずなのに、だんだんずれてきてどちらの主張が正しいかという夫婦間の争いになっていくというのがミソだよね。何やってんだと。
ハムエッグ いいですよね、この流れは。だいたい目的が失われ始めると物事は滑稽になっちゃうもんですよね。
ポンデ そうね。日本の政治にも当てはまりそうだ。
ハムエッグ おっと出ましたね、風刺が。
ポンデ ここを下訳したときのポイントというか、気になってたことって何かある?
ハムエッグ そうですね。三つくらいはありますね。
ポンデ 多いな。まぁ、いいや。かいつまんで教えてよ。
ハムエッグ 一つ目は quello infrangibile の quello でして、直訳すれば「割れないやつ、それ、ほう」とかいうふうになりますけど、要するに指示代名詞ですね。これをいかにさりげなくしっくりと訳出してやるかということに苦心しましたね。それで色々試行錯誤したんですけど、自分でもびっくりしたのは、最終的には代名詞を使わずに「グラス」とやってしまったということなんですよ。
ポンデ むふふ。堂々巡りをしちゃったわけだ。でも、その判断は間違ってないんじゃないかな。この文ではグラスという単語は使われてないわけだしさ。日本語として違和感がなければまったく問題ないでしょ。ただ代名詞をもとに戻したっていうだけなんだから。二つ目は?
ハムエッグ 二つ目はですね、 il suo なんですよ。直訳は「彼女の」ですけど、まぁ、ここは単純なテクニックとして、訳すときは「自分の」としたほうがいいと思ったんですね。
ポンデ そうだね、書き手は夫のほうなわけだし。でも、問題はそれだけじゃないんだね?
ハムエッグ 動詞を補いたいなと思ったんですよ、僕は。グラスが10個以上並んでるところから夫も妻も一つずつ選んで、「こっちだ」「こっちよ」とやりあってるわけなんで、「自分のが」というよりも「自分の選んだのが」としたほうが感じが出るかなと思ったんですよ。動きも出てくるし。
ポンデ そうだなぁ。一理あるよね、君の言ってることには。ただ、そうねぇ…。いや、まぁ、いいか。先に三つ目を聞いておこう。その方が合理的なんじゃないかと思うしさ。ほら、次とも当然関わってくる話じゃない。
ハムエッグ 気になりますけど、それじゃ、三つ目に行きますね。それは convinto の部分なんですよ。「納得している、確信がある」ぐらいな意味なわけですけど、これって妻の話じゃないですか。
ポンデ 妻が確信しているのを夫が描写していて、夫はその妻の確信は妄信だと確信している。ややこしいね。
ハムエッグ そうなんですよ。だから、そこはどうやっても客観的には書ききれないんじゃないかと思いまして、「信じきっている」という言葉にすることによってですね、「まぁ、彼女はそうやって信じ込んでるんだけれど、私はそうは思わない」というニュアンスが出せてるんじゃないかと考えてるんです。
ポンデ なるほど。確かにシンプルに「信じている」とするよりは「信じきっている」としたほうが書き手の突き放した感じは出るかもしれない。
ハムエッグ まぁ、こんなところなんですけど、総合的にはいかがですか?
ポンデ これはなかなか難しいな。いや、基本的には悪くないんだけど、多少変えたくはあるね。ただ、変えだすとがらっといきそうな感じもするし…。
ハムエッグ とりあえず思いのたけをどうぞ。
ポンデ そ、そうね。じゃぁ、まずは君が「自分の選んだのが」とした il suo なんだけど、これはね、いいとは思うんだけど、別に「自分の」でもいいんじゃないかなとも思うんだ。すごく単純な理由だけどね。長いっていうだけ。ここを長くするくらいなら、「信じきっている」のところでもうちょっとがんばりたいな、僕は。例えばそうだな…。
ハムエッグ 「信じて疑わない」とか。
ポンデ そうそう。いいね、それ。だから、まとめれば、「自分のが割れないグラスだと信じて疑わない妻が」となるかな。うん、リズムもあるしさ。
ハムエッグ リズムはよくわからないですけど、いいですね、確かに。ところで後半にはまったく触れてないんですけど、どうですか?
ポンデ 気になるのは「落としてみる」の「みる」だね。原文では dimostrare という動詞を使ってるでしょ? デモンストレーションだから、要するに。
ハムエッグ そうですね、確かに。何だったら僕の「証明する」というのもちょっとやりすぎてますよね。どうすればいいのかな。「落としてみせよう」が一番もっともらしいですけどね。
ポンデ 「落としてみせるわ」とか女性っぽくしてみるのもいいかもしれないけど、どうもまだ違う気がするな。答えにはまだ遠い気がする。
ハムエッグ 少し発想を変えてみればいいんですかね、イタリア語から離れて。
ポンデ 道が開けるかもね。
ハムエッグ 「落として白黒つけようということになった」とか。
ポンデ 開けたね、活路が…。あぁ、でもどうなんやろう、あぁ。
ハムエッグ 関西弁が出てきましたよ。困ってますね、ポンデさん。やりすぎかもっていう危惧ですか?
ポンデ その通りだね。やっぱり簡潔に「落としてみせる」ぐらいにしておいたほうがいいのかな。
ハムエッグ 俺はそれでもいいと思いますよ。
ポンデ うん、じゃぁそうしようか。ただね、実はもう一点言っておきたいことがあったんだよ。冒頭の e andato a finire che のくだりね。
ハムエッグ はいはい。俺はさらっと流してますね、どっちかと言うと。
ポンデ うん、そうなのよ、でも、実は大事なんじゃないかと思うよ、これ。さくっと表現してるけど、紆余曲折を経て最終的にはこうなったっていうことでしょ、ここは。
ハムエッグ あぁ、そうか。そうですね。でも、その雰囲気を織り交ぜようと思うと、一文では難しくないですか?
ポンデ うん、厳しいかもね。こうなってきたら、やるしかないや。やっぱりがらっと変わりだしたな。
ハムエッグ 仕方ないですよ。いきましょう。えっと、二文に分けるなら、妻を前に持ってくるのがいいですよね? 例えば、「妻は自分のが割れないグラスだと信じて疑わない。最終的に彼女がそれを床に落として見せることになった」。どうです?
ポンデ 「最終的に」ときたか。ちなみに他には? その部分だけでいいんだけども。
ハムエッグ う〜ん。「埒が明かないので」、「結果」、「仕方がないので」とかですかね。
ポンデ もう一声。
ハムエッグ 「しかるべくして」。
ポンデ 出たね。悪くないよ。
ハムエッグ 俺もそう思います。じゃぁ、これでまとめときますか? いやぁ、のっけからハードワークでしたね。
ポンデ 僕は足元から火照ってるからね。どんどんいけそうだ。ぼやぼやしてると置いてくぜ。
改定案 妻は自分のが割れないグラスだと信じて疑わない。しかるべくして、彼女がそれを床に落としてみせることになった。
 
28 Ed è stata una vera soddisfazione, per me, vedere il bicchiere rompersi e trionfare la mia tesi.
それは 私にとっては実に満足いく結果となった。グラスが割れて、私の主張が勝利したのだ。
ハムエッグ ここなんですけど、ポンデさんの意見を聞く前に、ちょっといいですか? こうして見ると訳が微妙に抜けてるなと思ったのが一箇所ありまして。「見る」(vedere)がないですよね。だから、夫の視線が消えてしまってるというか。
ポンデ 確かにないね。じゃぁ、ついでにもう一つ指摘しておくと、僕は per me の位置が引っかかるんだよね。原文ではコンマに挟まれて浮き立ってるのに、訳文では「私にとっては」があっさり前に来ちゃって、あまり存在感がないんだよね。この per me はさ、確認だよね。満足のいくものだったと言ってから、「あ、まぁ、これは私にとってはということだが」みたいなね。嫌味な確認。だから、ちゃんと意味があるのよ。
ハムエッグ なるほど。じゃぁ、俺なりにポンデさんの意見を取り込みつつまとめると、「その結果は、私にとっては、実に満足いくものだった。グラスが割れるのを目にし、私の主張が勝利したのだ」っていう感じですかね。
ポンデ 良くなったね。まぁ、僕なら「これは私にとってはということだが」とか余計なことしてしまいそうだけど、そんな「はしゃぎ」は自分で引っ込めるよ。しかし、あれだね、「勝利した」がいささか素っ気ないね。 trionfare なんて動詞を使ってるんだからさ。 arco di trionfo で凱旋門だぜ。もうちょっと味付けしたいね。
ハムエッグ 「勝利の女神が微笑みかけた」。
ポンデ 濃い味付けやな。びっくりしたよ。
ハムエッグ 「勝利を収めた」。
ポンデ 今度は関西風、薄味やね。うん、まぁ、いいか。ちょっと長くなって、味付けまではいってないけど、ダシは出た感じがするよ。
ハムエッグ はい、ではこんなところで。
改定案 その結果は、私にとっては、実に満足いくものだった。グラスが割れるのを目にし、私の主張が勝利を収めたのだ。
 
29 "Pare di no" ha esclamato mia moglie perplessa.
「そういうことね」妻が困惑しながらうめいた。
ハムエッグ ちょっと間が空きましたね。グラスが二個とも割れてしまって、夫婦揃って間違ってたということがわかる。
ポンデ そうね。微妙な空気が漂ってるんだろうな、現場には。互いの腹を探り合うようなね。少なくともいい雰囲気ではない。
ハムエッグ お互いに非はありますしね。
ポンデ その感じを出すならさ、「そうみたいね」とか「そのようね」みたいに断定しないほうがいいんじゃない? その方がイタリア語にも近いし。
ハムエッグ 「そうみたいね」はいいですね。「そのようね」だとちょっと夫婦ではないですよ、これは。
ポンデ じゃぁ、そこは解決として、もう一つだけ。 esclamare なんだけど、「うめく」はどうかな。この台詞はさ、本当は言いたくないんだと思うんだよね。夫のが割れて「ざまぁみろ」と思うんだけど、自分のも割れてるわけで、勝負は五分。だから、はっきりとは言えないわけだ。上唇を片側だけ引きつらせるように心持ち上げ気味にしてる顔が思い浮かぶな。
ハムエッグ 確かに。じゃぁ、「苦し紛れに言う」なんてどうですか?
ポンデ いいね。いつの間にか勝敗に拘泥してた自分と、その一方で数が減り続けていくグラス。そんな状況であっさりとは言えないもんね。
ハムエッグ 決まりですね。
改定案 「そうみたいね」と困惑した妻が苦し紛れに言った。
 
30 La presenza d'un misterioso bicchiere infrangibile fra quelli frangibili del nostro servizio ci rendeva inquieti e nervosi.
私たちの持っている一式の割れるグラスにまざった不思議な割れないグラスの存在は私たちをいらいらさせた。
ハムエッグ 自分で言うのもなんですけど、主語があまりにも長いですね。
ポンデ ギネス級だね。確かにこれはまずいな。
ハムエッグ どこかで切るべきなんでしょうね。でも、どこかな?
ポンデ う〜ん。そうねぇ。今ハムエッグの訳を注意して見直してたんだけど、君は fra quelli のところを動詞にしてるよね? 「〜の中に」というだけでは済ませずに、「まざった」という表現を加えてる。
ハムエッグ まずかったですか?
ポンデ いや、そういうことではなくて、そこを軸にして主語部分を一文にできるんじゃないかなと思ったのよ。
ハムエッグ なるほど。主語が独立してできたその一文が生み出す状況に苛立っていたという流れですね。
ポンデ もう少し言うと、「まざった」というのはあっさりしてるよね。過失感がほしいね。不覚だった感じを出したい。「紛れ込んでしまった」とかさ。
ハムエッグ いいですね。でも、「紛れ込んだ」ぐらいでもいいんじゃないですか? 長いとグラスの異物感が遠ざかるような気がしますし。
ポンデ そうね、もともとないわけだし、あまりこっちの存在感が際立つのはよろしくないね。
ハムエッグ じゃぁ、これでちょっとやってみましょうか? 「私たちのおそろいのグラスに紛れ込んだ不思議な割れないグラス。その存在が私たちをいらいらさせた」。ちなみに「一式のグラス」のところは「おそろいのグラス」としておきました。
ポンデ そこはいいと思うよ。
ハムエッグ でも、あれですね、こうして二文に分けるとなると、ちょっとひずみが出てきますね。
ポンデ どこ?
ハムエッグ いや、たぶん、うまくカバーできるんでしょうけどね。例えば misterioso の位置ですね。「不思議な割れないグラス」というのはちょっと落ち着かないじゃないですか。
ポンデ ぎこちないね。後ろへまわしたらいいんじゃない? 存在を修飾させれば。
ハムエッグ テクを出しますね。えっと、じゃぁ、「その不思議な存在」ですかね?
ポンデ 何か違うなぁ。イラつくくらいだからね、もっと的確な言葉があるんじゃないかな。「その不審な存在」なんてどうよ?
ハムエッグ あ、いいですね。いらいらが募るのもわかるって感じで。あと、これはひずみでもなんでもなくて俺の怠慢なんですけど、原文の inquieti が抜けてますよね。
ポンデ あ、ほんまや。せっかく畳み掛けてる場所やのに、台無しやないの。
ハムエッグ すいません。
ポンデ 訳すと?
ハムエッグ 「その不審な存在は私たちの落ち着きを奪い、いらいらさせた」。
ポンデ どこかぎこちないね。
ハムエッグ そうですね。
ポンデ 「落ち着きを奪う」というのは面白い表現だけど、ここはさ、「その不審な存在に私たちは落ち着きを失い、いらいらした」という具合に「私たち」を主語にしておいたほうが自然じゃない?
ハムエッグ またしてもテクが…、出ましたねぇ。piacere(好まれる)→mi piace〜(私は〜を好む)や servire(仕える)mi serve〜(私は〜を必要とする)などイタリア語は人メインなのに物が主語になることが多いですからね。ここもそのパターンですね。
ポンデ ただし、「いらいらした」は気に入らないね、自分でも。「落ち着きを失い」と比肩できないよ、これじゃ。読点以降、急に平安朝になってるもの。全部ひらがなじゃない。まぁ、これをそのまま漢字にすればいいものでもないけどさ。
ハムエッグ 「苛立ちを覚えた」くらいいっときます?
ポンデ えぇの出すやないの。いっときましょう。
改定案 私たちのおそろいのグラスに紛れ込んだ割れないグラス。その不審な存在に私たちは落ち着きを失い、苛立ちを覚えた。
31 Con lo scegliere a caso, c'era probabilità di indovinare quanto di sbagliare. E un errore significava un bicchiere rotto.
適当に選ぶとなると、どれだけ間違うかのクイズができる。一つの間違いイコール一つの壊れたグラスだ。
ポンデ あと一箇所くらいはやってしまおうか?
ハムエッグ 温泉パワー持続しますね。
ポンデ 硫黄が僕を刺激したみたいね。その活性化した脳でつっこみをいれておくと、ここは結構はしゃいだね、ハムエッグ。
ハムエッグ 確かにそうですね。クイズとかやりすぎました。やりすぎたというか元の意味をわからぬままに訳し過ぎ去ったというか。
ポンデ クイズに流されてイコールとかまで出てきてるし。
ハムエッグ 返す言葉もないです。
ポンデ いやいや、はしゃぎも大事だからいいんだけどね、下訳だし。まぁ、とりあえず直訳しておこうか。
ハムエッグ 「適当に選ぶとなると、正解するか間違えるかのどちらかになってくる」ですかね。ポンデさんならどんな風にこなした訳を作ります?
ポンデ 君のをベースにするなら、「適当に選ぶとなると、正解するか間違えるか、どちらに転ぶかわからない」かな。でも、頭の部分は「あてずっぽうでいくと」とかのほうが面白いよね。「適当に選ぶ」では現場の雰囲気が伝わらないよ。
ハムエッグ なるほど。じゃぁ後半なんですけど、「一つ間違えるごとに、グラスは一つ割れていく」ということですよね? あれ、説明しようとしたら訳になっちゃいましたね。
ポンデ 棚ぼただよ、それ。そして決して悪くないし。僕が考えてたのは、「そして一つしくじるごとに、グラスは一つ割れていく 」なんだけどね。「一つミスするごとに」というのもあるけど。
ハムエッグ なるほど。「間違える」は直前の文章でも使ってますしね。「ミスする」というよりは「しくじる」のほうがこの作品に合っていますね。それでいきましょうか。
ポンデ うん、そうだね。
改定案 あてずっぼうでいくと、正解するか間違えるか、どちらに転ぶかわからない。そして、一つしくじるごとに、グラスは一つ割れていく。
ハムエッグ いやはや、長い対談になりましたね。遅くまでお疲れさまです。しかし、本当に温泉はすごいですね。硫黄だけでこんなになるとは。
ポンデ あれはラドンあたりも入ってんじゃないの? ともかく今回はだいぶ進んだし僕は満足だよ。で、どう? ひとつビールでも。
ハムエッグ いや、それが俺これからバイトなんですよ。
ポンデ えらいこっちゃ、憔悴した顔つきやのにね、君。心なしか背も縮んだ感じするもの。まぁ、がんばって。
ハムエッグ 背が縮んでみえるのは俺が猫背だからですよ。ではいってきます。
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