【第一幕】
(原文1ページ)
テレーザ・ママが部屋を片付けている。そこへ、ベッポくん登場。
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| 母親 |
どう、ベッポちゃん。ママの宝くじは当たってた? |
| 息子 |
今回もダメ |
| 母親 |
今回は自信があったのに〜。まず24番はジジさんの葬式の日でしょ…、42番は列車にひかれてばらばらになったジョバンニさんの肉片の数…、54番はペルーで虐殺された人の数。そして、不吉な数字の70番。 |
| 息子 |
不幸な数字ばかりじゃないか…。 |
| 母親 |
そうでもないわ。83番は8月3日、隣のナンドが足を骨折した日だもの。 |
| 息子 |
なんだよ、それも十分不幸じゃないか、ママ。 |
| 母親 |
何言ってるのよ、これはグッドニュースなんだから。これでナンドは、夜中にウチの木に登ってりんごをごっそり盗むなんてできなくなるわけでしょ。あの男ときたら「庭に木の枝が入ってたから、りんごを収穫したまでだ」って言い訳するの。ほんと卑怯な男なんだから。 |
| 息子 |
それで、ママはどうしたの? |
| 母親 |
「果物くらい自分で買いなさい!」って言ってやったわ。あの木はだれにも触らせない。あれは神聖な木なんだから、そっとしておかないと。 |
| 息子 |
神聖? |
| 母親 |
だって、あの木はピーナちゃんが生まれた日にパパが植えた木よ。 |
| 息子 |
にしても、宝くじの賞金を隠しちゃうなんて、パパもとんだことしてくれたよね。きっとびっくりするくらいの大金なんだ。 |
| 母親 |
そりゃあそうよ、パパが国が半分買えるくらいだって言ってたわ。 |
| 息子 |
隠し場所を言わないなんて、パパもひどいよ。 |
| 母親 |
ママに言われても…。パパは銀行にお金を預けたくなかったみたい。友人や親戚に賞金を取られたくなかったんじゃないかしら? |
| 息子 |
それで、隠し場所をだれにも教えなかったわけか。 |
| 母親 |
確かにパパはかなりケチな人。葬式の費用さえケチったの。遺書で燃やしてほしい、じゃなくて…、火葬してほしいなんて書いて(訳注1)。その方が安いからだって。ママはちゃんとパパの言うとおりにしてあげたのよ。だって、パパが夜に幽霊になって現れてさ、足にこちょこちょなんかされたくないもの。パパにはあの世で安らかに眠っていてほしいのよ。 |
| 息子 |
でもさぁ、パパの遺書に賞金の隠し場所は書いてなかったの?
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| (原文2ページ) |
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| 母親 |
宝くじを当てる前に、パパは遺言書を書いたはずなんだけど、賞金が手に入ったら忘れてしまったらしいわ。実はね、パパはママの夢に現れて、宝くじの当たり番号を教えてくれたの。
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| 息子 |
当たり番号だけ? |
| 母親 |
そう、ケチだから。死んでもケチは相変わらず。 |
| 息子 |
その当たり番号は? |
| 母親 |
100番らしいの。 |
| 息子 |
宝くじに100番はないよ! ちゃんとパパにそのことを言った? |
| 母親 |
もちろん。何度もね。 |
| 息子 |
で、パパはなんて? |
| 母親 |
そんなことはわかっている、だってさ。パパは当たり番号をなぞなぞを使って教えてくれたのよ。 |
| 息子 |
へぇ、その夢の話をくわしく聞かせてよ。
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| 母親 |
えっとねぇ…。目の前にパパが現れて「テレーザ、手の指は何本ある?」って聞くの。ママは「5本」って答えたわ。そしたらパパが「2つの手なら?」って聞くの。「10本」って答えたわ。すると、「手が10あれば?」って聞くの。「100本」って答えたわ。すると消えてしまったの。 |
| 息子 |
ママはホントに数字に弱いね。手の指は何本ある? |
| 母親 |
ベッポちゃんもパパみたいなことを言うのね。 |
| 息子 |
答えて。手の指は何本? |
| 母親 |
5本よ。ママは賢いんだから。 |
| 息子 |
手が10あれば? |
| 母親 |
えっと〜…、ひとつの手が5本だから…、手が10あれば…。あ、解った! 50本っ! |
| 息子 |
そうだよ。100本じゃない! |
| 母親 |
マ、ママも50本じゃないかと思っていたのよ…。 |
| 息子 |
なんてガンコな…。 |
| 母親 |
当たり番号は50番だったのね! 裏を読みすぎた。悔しいわ。 |
=訳注=
(1)カトリックが宗教の圧倒的マジョリティであるイタリアでは土葬が基本であり、火葬の習慣はほとんどない。火葬を選択するのは、キリスト教でも宗派が違う場合か、良くも悪くも変わり者である(あるいはまわりからはそう見える)場合に限られる。

次回はピーナちゃんが登場し、お父さんの宝くじ発見にむけて仰天プランを発表します。お楽しみに。
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