(戸をたたく音)
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| 娘 |
あ、来たっ!どうぞ、お入りくださーい!
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| (黒い衣装を着た陰鬱な人が入ってくる。そして、陰気な声で…) |
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| 霊媒 |
どうも…、みなっさん。わたくしは今夜の霊媒を担当させていただく、霊媒師でございます。
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| 娘 |
ようこそお越しくださいました。
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| 霊媒 |
いやいや、どうもどうも。わたくしは霊媒師のヤスラ・カニシネです。そして、我が父はオダヤ・カニシネ。母はシヌノワ・ツライネ。
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| (原文5ページ) |
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| 母親 |
あ、怪しいわ…。
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| 娘 |
大丈夫よ、ママ。変わった名前の人も結構多いものよ。 |
| 母親 |
でもなんだか気持ち悪いわ…。 |
| 娘 |
なに言ってるの、この人はとても優秀な霊媒師さんなのよ。 |
| 霊媒 |
その通り。わたくしは国際魔術大学の霊媒学部を卒業いたしました。ワーテルローの戦いの時には、あのナポレオンの霊と交信したんですよ。 |
| 母親 |
ベッポちゃん、「わーてるろー」ってなんのこと? |
| 霊媒 |
そうそう、ガリバルディの霊にインタヴューしたこともあるんですよ。彼が赤シャツ隊を率いた時のことです。
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| 母親 |
ガンバ・ヴェルディ? 赤シャツ? |
| 霊媒 |
彼がシチリアで大変な思いをしているときには…。 |
| 母親 |
ウチの夫はマラリアで大変な思いをしましてね…。 |
| 霊媒 |
そうそう、あの有名なジュリアーノ・ラポスタータの霊を目覚めさせたこともありますぞ。 |
| 母親 |
ウチの夫も何度も夜中に目覚めてたわ、トイレが近かったから。 |
| 霊媒 |
…もしよければ、そろそろ霊媒を始めたいのですが?
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| 娘 |
いつでもどうぞ。 |
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| (ピーナちゃんは丸いテーブルを部屋の真ん中に運ぶ) |
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| 霊媒 |
では、始めましょう。
…悲しみの夜が我らを包み込む。闇が我らを染めてゆく。あたりが夜の闇に包まれたとき、死者たちの足音が聞こえてくる…むにゃむにゃ…。
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| 母親 |
ベッポちゃん、ママ怖いわ。この人、黒い服着て、死者の使いみたい。 |
| 息子 |
こういう人は、黒い服を着るものなのさ。 |
| 霊媒 |
みなさん、よくお聞きください。1本のロウソクをテーブルに置き、灯をつけてください。 (ピーナちゃんは言われた通りにする) 電気を消してください。
(ピーナちゃん、電気を消す) テーブルの周りに集まってください。 (3人はテーブルの周りにスタンバイ) それでは互いの手を強く握り締めて。そして…、ぜったいに声を出さないで…。 |
| 母親 |
(ちいさな声で) ベッポちゃん、ママ、くしゃみしちゃったらどうしよう? |
| 息子 |
ママ、うるさい。 |
| 霊媒 |
おだまりっ! …死んだように静かにするのです。 |
| 母親 |
(ちいさな声で) ベッポちゃん、ママ怖いわ。死んだようにですって。
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| 息子 |
ぼくだって怖いんだ。でも、パパの隠した賞金を見つけるためだ。このくらい我慢さ。 |
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| (原文6ページ) |
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| 霊媒 |
さぁさぁ、集中して、もっと集中…。はい、さらに集中…。ねぇ、みんな集中してる? |
| 息子 |
霊媒師さん。ぼくたち、しゃかりきに集中してます。 |
| 霊媒 |
では、死者の名前を教えてください。 |
| 母親 |
死者が話すなんてミラクルだわ…。 |
| 霊媒 |
死者の名前を教えてください! |
| 娘 |
ピ、ピエーロです。ピエーロ・デル・メンガ。 |
| 霊媒 |
何を彼に伝えたいのですか? |
| 母親 |
あのですね、ウズラ・カモシカさん…。 |
| 霊媒 |
奥さん、わたしはヤスラ・カニシネです。 |
| 母親 |
あら、ごめんなさい。わたしったら…。実はね、ウズラさん、夫のピエーロは宝くじの賞金を当てた後、隠し場所を言わずに死んでしまったのです。わたしたちは、その賞金の隠し場所を知りたいんですよ。 |
| 霊媒 |
ほほう、なるほど、わかりました。それでは、もう一度集中して。
ピエーロさん! ピエーロさ〜ん! そこにいるなら、返事してくださいっ! (一瞬の静寂) ピエーロさん、聞こえないんですか? |
| 母親 |
(ちいさな声で) ウズラさんにパパは少し耳が遠いことを教えたほうがいいんじゃないかしら。もっと大きな声で言わないと聞こえないわよ。 |
| 霊媒 |
奥さん、お静かに! ピエーロさんっ! 応えて〜!
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次回はついにピエーロさんが登場します。さてさてどうなりますやら。ご期待ください。
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